上久堅地区は米作りが盛んで、とれたお米は美味しいと評判です。
春から秋にかけて行われる米作りの中で、今回は農事組合による育苗作業の一部をご紹介させていただきます。
遊休農地を増やさないための、国による助成金の使い道を地区で考えた際に、「苗を作ってほしい」との意見が出たことがきっかけで10年以上続く、上久堅の年中行事です。
農作業の負担軽減のため、農事組合が委託を受けて約120件分の「苗」を生産します。
この育苗作業は前期と後期に分けて2回行われます。
前期は3月に始まり、後期は4月に始まります。
私は後期作業の一部を体験させていただきました。
<種まき>
種もみを1週間ほど水に浸けて芽だしをし、乾燥させます。
乾燥させた種もみを専用の容器に土と一緒に入れます。
容器の下には根が伸びるのを防ぐシートを敷きます。
次はこれを田んぼに移す、「苗代移設」を紹介します。
<苗代移設>
種をまいた容器を田んぼに置いていきます。
苗になるまでここで育てます。
これは全て手作業で行います。
きれいに並べていくのですが、手渡しです。
これはこの辺りでは珍しい作業だそうで、この時期の風物詩となっております。
並べたものの上にはシートをかぶせます。
ネズミ等が入らぬよう、隙間を土で埋めます。
この水はずっとはっているわけではなく、根に水分を補給させるため一時的にはっているものとのことです。
ご注文された皆さまにしっかりとした苗をお渡するため、3日に1回ほど水の管理を行っています。
田んぼといえば水のイメージがあったのですが、苗は「空気で育てる」とのことです。
苗代移設作業は25名ほどの人が集まり、約2400枚の苗代移設を行いました。
前期も合わせると4000枚を超えるそうです。
この苗作りができなくなったらどうなってしまうことでしょう。
約20haの田んぼに植えられる予定の苗です。
管理の代表の方は「みんなで上久堅のお米を守っていこうと思って、地区の方が集まってくれている。だから自分も頑張っている」と仰っていました。
大変な作業を地区で力を合わせて取り組んでいます。
しかし、いつまでも続けられることではありません。
また一つ上久堅の魅力を感じることができた一方で、後継者不足という課題も垣間見えた日でした。
地域おこし協力隊