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神之峰城址【歴史】

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神之峰城とは
戦国時代に、竜東一帯を治めたといわれる「知久氏」が拠点としていた山城です。
現在は城址公園として整備されております。
知久氏は諏訪氏の一族といわれ、もともと上伊那地方に住んでいましたが、鎌倉時代に知久平(飯田市下久堅)へ移り住んだといわれ。
その後、室町時代からは堅固な場所である神之峰に移ったといわれています。
神之峰は、知久氏が山頂付近に住んでいたことが判明している、珍しい山城です。

神之峰城は標高772mの天然の要害で、下伊那の大半を見ることができます。
天竜川を挟んだ対岸には、飯田城や松尾城跡、鈴岡城跡などがよく見えます。
戦国大名の支配下では通信基地の役割もあったかも?
今も戦国時代の狼煙リレーを年1回行っています。戦国時代が偲ばれます。

武田信玄(当時の名前は晴信)が下伊那に攻め入り、多くの豪族は武田に従いましたが、知久氏はこれに抵抗したため、神之峰城は攻められて落城したといわれています。
この時、知久氏の領地は放火され、文永寺(ぶんえいじ)や周りの寺々も焼かれてしまいました。
当主の知久頼元(よりもと)父子は甲斐(山梨県)へ連れ去られ、処刑されてしまいました。

武田氏が織田信長に滅ぼされると知久氏は復活し、知久頼氏(よりうじ)が徳川家康配下の武将として活躍しますが、浜松城(静岡県浜松市)で頼氏が謎の自殺し知久氏は再び没落。
しかし、知久頼氏の子、則直(のりなお)は、関ヶ原の戦いに徳川軍に加わっており、知久氏を再興して阿島(下伊那郡喬木村)に陣屋(じんや)を構えました。
神ノ峰城は、決して攻めやすい城ではありません。
山の斜面は巨石が重なる急斜面となっているため、堅固な山城といえます。

神之峰にまつわる伝説・地名
神之峰城とその周辺には多くの地名や伝承が残されています。
①篝岩(かがりいわ):郭の北端の岩。かつて狼煙(のろし)を揚げたといわれる場所。

②霧穴(きりあな):篝岩の下にある岩穴で、城が攻められた時にこの穴から霧がでて、神ノ峰をおおい見えなくしたという。

③鞍掛岩くらかけいわ):鞍(馬に乗るときに使う馬具)を掛けたという岩。

④矢立岩(やたていわ):弓矢を立て掛けたといわれる。

⑤御手洗池(みたらしいけ):郭2の北側。干ばつでも枯れることがないといわれる。

⑥知久十八ヶ寺(ちくじゅうはちかじ):神之峰の周辺には、寺院とそれに関連した地名が多く残っていて、知久十八ヶ寺と呼ばれています。
知久十八ヶ寺:法心院・坂尾寺・新慶寺・陽光寺・光福寺・普門院・龍源寺・興禅寺・永福寺・玉川寺・黙禅寺・是心寺・古寺・八王寺・山寺・小野寺・経山

城址の周辺で親しまれる地名・伝説
①ジタジタ峠(飯田市上久堅下平)
武田信玄の家臣山本勘助(やまもとかんすけ)は、玉川を挟んだ峠から神之峰を見て強引に攻めることをあきらめ、城内の飲料水を断つ作戦をとった。兵を玉川に配置して、城兵が水をくみに来たら攻めようとしたが、なかなか水をくみに来ない。そのうち、篝岩で馬を洗っている城兵の姿が見えた。実は神之峰の城兵は、玉川に武田軍がいるのを知っていて、白米を馬の背にかけ流して、遠くからは馬を洗うほど水が豊富にあるよう見せかけた。これに勘違いした山本勘助は地団駄(じだんだ)をふんで悔しがったことから、この峠をジタジタ峠といい、後世まで草木が育たなかったという。

②山本勘助物見の松(飯田市上久堅原平)
知久氏を攻める武田軍の山本勘助は、原平の一本松に登り神之峰を眺めると、天然の要塞で攻めにくいことを知り、松の上で悔しがったことから、物見の松といわれた。この松は昭和19年に枯れて、現在は5代目?となる松が成長している。

③おばあさんの道案内
山本勘助は、家来を薬売りに化けさせて上久堅大鹿の民家を訪ね、「私は薬売りで、知久の兵隊に頼まれて薬を届けに来たが、武田軍に城が囲まれて入る道がなくて困っている。どこか道はないか。」といったところ、「あの城は三方は険しくなっているが、東の方からいくと楽にいける」と教えてくれたので、武田軍は東から攻めて神之峰を攻め落とすことができたという。

④提灯づるね(飯田市上久堅原平)
物見の松から県道83号を挟んで西のつるね(尾根)をいい、山本勘助は神之峰を攻めるときにこの尾根にたくさんの提灯(ちょうちん)をともし、大軍がいるように見せかけたといわれる。

⑤追い取り線(飯田市上久堅原平)
知久氏の残党を武田軍が、追い求め打ち取ったとされる道、山本勘助物見の松の近く/提灯づるねの県道を挟んで反対側の道

神之峰は現在イベントに使用されるなど、人が集う場所として利用されています。
眺めも良く気持ちのいい場所なので、一度お出かけしてみてはいかがでしょうか。


~ご提供:鎮守の杜写真倶楽部~

⇒神ノ峰城跡(飯田市HP)へのリンク